亡くなって1週間後以降から3カ月以内の手続き


 

被相続人の方が亡くなられた直後から1週間以内に起こる、一般的なイベントや、手続きについての流れを

ご紹介してきましたが、その後、1週間以降から3カ月以内の流れを見ていきましょう。

 


1.世帯主を変更したいとき

 

世帯主が亡くなり、残る世帯員が2人以上(配偶者以外の者が新たに世帯主になる等)の場合は、

世帯主に変更が生じた日から14日以内に世帯主変更届(住民異動届)を提出し、住民票の世帯主を

変更する必要があります。

 

残された世帯員が1名の場合や、妻(母)と幼い子というように新しい世帯主が明らかな場合、また

亡くなった方が世帯主ではなかった場合は届出の必要はありません。

 

なお、亡くなった方は死亡届の提出により、戸籍に『死亡』の旨が記載され、住民票が消除されます。

 

 

提出先・・・故人が住んでいた市区町村役場窓口

 

届出人・・・新世帯主または同一世帯の方もしくは代理人

 

必要な物・・・

  • 届出書(窓口で入手)
  • 国民健康保険証(加入者のみ)
  • 運転免許証等の本人確認資料
  • 委任状(代理人の場合)、印鑑

※注意点  完了したら住民票の写しを取得し、念の為に内容の確認をしましょう。

        (不動産登記などの手続きの際に、住民票の写しの提出を求められることがあります。)

 


2.健康保険の資格喪失の手続き

 

 

健康保険の被保険者が亡くなった場合、被保険者としての資格を失うため、

健康保険証(被保険者証)は死亡した翌日から使用できなくなります。

資格喪失の手続きをして、健康保険証等を返却しましょう。

その際、葬祭費等の請求をあわせて行うとスムーズです。

 

加入していた健康保険によって、手続きの仕方が違います。

あてはまる項目だけチェックしてみてください。

 

*国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合

 

亡くなった方が自営業などだった場合、国民健康保険資格喪失届を、

75歳以上(65~74歳で障害のある方を含む)だった場合

後期高齢者医療資格喪失届を世帯主等が提出し、あわせて健康保険証等を

返却します。

 

返却先・・・故人が住んでいた市区町村役場窓口

 

提出書類・・・国民健康保険資格喪失届、または後期高齢者医療資格喪失届(窓口で入手)

 

返却物・・・

  • 国民健康保険被資格者証(世帯主の場合は世帯全員分
  • 国民健康保険高齢受給者証(対象者)
  • 後期高齢者医療被保険者証(対象者)

その他必要な物・・・

  • 死亡を証明する戸籍謄本等
  • 世帯主の印鑑(認印)
  • 運転等の本人確認資料

後期高齢者医療の対象者については以下も必要になります。

  • 相続人の印鑑・預金通帳(高額療養費がある場合のみ)
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証
  • 特定疾病療養受療証

 

※亡くなった方が世帯主でそのご家族も国民健康保険に加入していた場合

健康保険証返却の際に、世帯主を書換えて新しい健康保険証を発行してもらう必要があります。

 

手続き等について、わからない点や不明な点がある場合は、窓口で聞けば案内してくれるかと思います。

わからないままにせず、遠慮ぜずに質問しながら手続きをしましょう

 

 

 

*国民健康保険以外の健康保険(会社員等)に加入していた場合

 

亡くなった方が会社員等であった場合は、健康保険・厚生年金被保険者資格取得届

年金事務所に提出し資格を喪失する必要があります。

 

基本的には会社側で様々な退職手続きと一緒に行ってくれることが多いので、

残された家族は会社の担当者に確認しましょう。

健康保険証は会社が代行してくれる場合は会社を経由して返却します。

 

やむを得ない理由により、直接返却する場合は会社の住所がある各都道府県の

協会けんぽ、会社が健康保険組合に加入していた場合はその健康保険組合に

返却します。

 

※健康保険証に保険者(協会けんぽ等)の名称、住所の記載があります。

 

 

 

・扶養に入っていた方に必要な手続き

亡くなった方の扶養に入っていた方は、死亡日の翌日健康保険と厚生年金保険

資格を喪失しますので、今まで使用していた健康保険証が使えなくなります

そして、亡くなられた方の健康保険証と一緒にご自身の健康保険証も返却しなければ

なりません。

その後はご自身で国民健康保険と国民年金保険に加入するか、会社員である家族の

被扶養者になる手続きをする必要があります。

 


3.個人の所得税の申告手続き

 

相続税の申告より先に、故人の所得税の申告や納税が必要になる場合があります

 

確定申告の必要な方が年の途中で亡くなると、相続人や包括受遺者※包括遺贈を受ける者)は、

亡くなった方の代わりに所得税の準確定申告というものを行う必要があります。

 

※包括遺贈・・・遺産の全部または一部を一定の割合で示して贈与すること

(例) 『長男に〇〇に私の所有する財産の2分の1を与える』・・・など

 

 

通常は1月1日から死亡日までについて、亡くなった年の分の申告を行います。

また、確定申告の必要な人が3月15日までに亡くなり、前年分の確定申告をしていなかった場合は、

前年分の申告も必要です。

 

期限はどちらも、相続を知った日の翌日から4カ月以内です。

通常の確定申告とは期限が異なりますので注意しましょう

 

申告書類や記載の方法は、相続人や包括受遺者全員の氏名を

記載した『付表』が必要な以外は、通常の確定申告とほぼ同じです。

 

 

*準確定申告が必要な(または申告すると還付が受けられる)ケース

  • 個人で事業を行っていた、不動産を賃貸していた。
  • 公的年金を受給していていた、多額の医療費を支払った。
  • 2個所以上から給与をもらっていた。
  • 給与や退職金以外の所得がある  ・・・など。

*確定申告などの税務手続きがよくわからない場合は、税務署に問い合わせるか、

ご自身で手続きが不安な場合は、専門である税理士さんに相談してみましょう。

 

 

 

※所得が公的年金しかなかった場合

 

公的年金等による収入が400万円以下で、他の所得も20万円以下しか

ない場合、確定申告の必要はありません

年金の源泉徴収票は、死亡届を提出した家族宛に自動的に送付されます。

 

 


4.年金受給の停止と、未支給の年金の請求

 

 

年金受給者が亡くなった場合は、年金受給を停止する手続年金受給権者死亡届の提出)が

必要です

 

手続きが遅れてしまった為に年金が支払われてしまった場合は、その分を返還しなければなりません。

 

年金は年6回、偶数月の15日に前2か月分が支払われ、死亡した月の分まで受け取ることができます

まだ、支払われていない未支給年金は請求すれば受給資格のある遺族に支払われます

年金受給権者死亡届の提出と併せて未支給年金請求手続きを行いましょう。

 

請求先・・・最寄りの年金事務所

提出書類や必要なものについては、最寄りの年金事務所に問い合せて確認してください

 


5.その他手続き(該当する場合は必要に応じて行いましょう)

 

 

*故人が受けていたサービスの変更・解約

 銀行が亡くなった方の口座を凍結すると、公共料金等の自動引き落としが

 できなくなります。すみやかに各種変更の手続きをしておきましょう。

 

*電気・ガス・水道

 契約者変更手続きは、電話やインターネットから行うことができます。ただし、亡くなった方の

 口座は使えなくなるため、口座振替を利用している場合には、支払方法の変更手続きも必要になります。

 

*携帯電話・インターネット・ケーブルテレビなど

 亡くなった方の携帯電話の契約はそのまま引継ぐこともできますが、

 解約することの方が多いと思います。除籍謄本など、死亡の事実が確認できる書類を窓口に持参すれば、解約手続きが

 できます。原則として、解約手数料は掛かりませんが、解約日までの料金を日割り計算などで請求されることが多い為、

 気になる場合は早めに解約手続きをしたほうがよいでしょう。

※携帯会社によって必要な確認書類などが違う場合があるので、事前にお客様センターなど窓口に問合せておきましょう

  インターネットプロバイダやケーブルテレビなどの解約も、電話やインターネットで手続きが可能なことがありますので、

 早めに電話などで確認してみましょう

 

*NTTの固定電話

 電話加入権という財産を、相続する手続きが必要です。

 戸籍謄本等を添付すれば、郵送で手続きが可能です。電話加入権には相続税もかかります。

 少額ですが、申告の際には気を付けましょう。

 

 

*葬祭費・埋葬料の申請

 亡くなった方が加入していた公的保険から、葬祭費用の一部として

 『葬祭費もしくは埋葬料(費)』が支給されます。

 加入していた保険者に届出をすると3~5万円程度支給されます。

 時効は2年ですので、時効が来る前に忘れずに手続きをしましょう。

 健康保険の喪失届や保険証の返却等の手続きの際に併せて行う

 忘れずに手続きが出来ると思います。

 

 

*免許証・カード等の返却手続き

 運転免許証やパスポート、クレジットカードなど、紛失して第三者に悪用されることのないように

 早めに解約・返却手続きをしておきましょう。

 免許証は原則として最寄りの警察署などの窓口で返納手続きを行います

 免許証と死亡の事実が確認出来る書類(死亡診断書のコピーなど)を窓口へ持参しましょう。

 ただし、返納手続きを行わなくても、更新手続きを行わなければ自動的に失効します。

 パスポートはパスポートと死亡した事実が確認できる書類を持参し、最寄りのパスポートセンターへ

 届け出ます。

 クレジットカードはカード会社によって手続き方法などが変わりますので、電話で問合せて必要書類を

 揃えましょう。

 ただし、カードを解約しても故人が使用したカードの未払金は、原則として相続人が支払わなければ

 なりません。

 


次回は…

 

死亡から1週間後以降に行うイベントの流れについてご紹介していきます。